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東京地方裁判所 昭和52年(ワ)5248号・昭50年(ワ)9370号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

認定事実の骨子は、以下のとおりである。

「1 昭和三七年四月一八日、小町弁護士は小町法律事務所の名において、原告及び小町弁護士両名のために被告と受任事件につき、次の報酬等に関する契約を締結した。(一) 着手金は目的物の価額の一〇パーセントに当る金四五万円とする。(二) 実費はその都度受領する。(三) 成功謝金は和解、訴取下を含み被告が得たる利益の一五パーセントに当る金額とする。

なお、榎本幸吉に対する反訴(別訴の趣旨)を含む。

2 受任事件は、訴外岡田一郎が甲地を買受け取得したことを理由に被告に対し、その所有の同目録乙地との境界確定、所有権確認、建物収去土地明渡の各請求を提訴してきた事件に対する応訴である。

3 受任事件は、準備手続に付され、その後検証等証拠調を経て和解が勧告され、昭和四九年一〇月二一日、第一四回口頭弁論期日において、受任事件を含めた三件につき和解が成立し、その間に一二年以上の長期間を費した。

4 そこで裁判所の和解勧告に従い、被告は岡田に対し、事実上の境界を前提とした部分につき所有権を有することを認めさせたうえ、その解決金として金六〇〇万円を支払う旨の和解が成立し、被告としては事実上占有支配していた部分につき所有権が認められ、反訴の予備的請求に勝訴したと同様の結果になつたので、当時右和解の内容について何ら異存がなかつた。

5 原告は小町弁護士と共同訴訟代理人になつて訴訟行為を遂行し、昭和四九年五月一九日小町弁護士が死亡した後は単独でこれを引継ぎ、被告と折衝を重ねその承諾の下に前記和解を成立させて受任事件を処理した。」

【判旨】

そこで受任事件の報酬請求権について判断する。

前記約定の成功謝金の基礎となる「得たる利益」とは、提訴時の目的物の価額をいうものではなく、日弁連会規第二〇号「報酬等基準規程」に定めるとおり、その訴訟の結果によつて当事者が実質的に得た経済的利益を意味し、これを基準として報酬額を算定すべきものと解する。これを本件についてみるに、原告本人の供述及び鑑定の結果によると前記和解により被告が得た経済的利益は、これを原告主張のとおり控え目に算定し、和解成立時における鑑定価額によると、建付地としての価格(右土地上には被告所有の二棟の建物の各一部が存するので、これを考慮した価格)が金五八八一万二〇〇〇円(但し一〇〇〇円未満切捨、一平方メートル当り金一二万九〇〇〇円)であるところ、和解に基づき被告は岡田に対し解決金六〇〇万円を支払うことになつたので、右金額を控除した残額金五二八一万二〇〇〇円となることが認められ他に右認定を左右する証拠はない。したがつて、右約定の報酬額は、その一五パーセントに相当する金七九二万一八〇〇円となる。(約定報酬額は、結果的に日弁連及び原告所属の東京弁護士会所定の報酬等基準の最高額を超えることになるが、本件訴訟委任の経緯、事案の複雑困難性、審理に著しく長期間を要したこと、和解の内容、地価の高騰により被告が得た経済的利益その他諸般の事情を考慮すると、右約定が公正かつ妥当性を欠き無効なものとはいえない)。

ところで、数人の弁護士が共同訴訟代理人になつた場合は各代理人が委任者である当事者に対し、それぞれ受任事件の処理につき業務上の注意義務を負うとともに直接報酬請求権を有し、その性質上連帯債権者の地位に立つものと解するを相当とする(共同訴訟代理人の間は、いわゆる連帯債権者相互の内部関係に過ぎない)。したがつて、原告と小町弁護士両名は、委任者である被告に対し連帯して報酬請求権を有し小町弁護士死亡後も原告が連帯債権者の一人として、前記約定の報酬請求権を有するものというべきである。

(土田勇)

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